2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

完全に暗くなる前だったので、足を伸ばして都電を横目にようやく飛鳥山へ。念願だった、線路から見える階段をのぼっていくと、提燈に照らされた桜が並んでいました。週の始めだったためか花見をしている人はわずかで足場もぬかるんでいたのですが、闇の中に…

桂望実「女たちの内戦」

桂さんの作品はきっちりドラマが含まれているのでエンターテイメントしているのですが、ただ展開だけを追っているだけではなく内面まで描かれているので現実味を感じられるようです。二十代後半からの、女の人の心情がそれぞれの立場から綴られていって、お…

香川照之「日本魅録」

彼の魅力にやられてしまった人は多くて、私もその中の一人だったりします。なさけないおじさんっぷりがたまらなく、どんなことを考えているのだろうかと興味を抱いてみたのですが、想像通りの少々かためな文体を持つ人でした。演技に対する真摯な姿勢やスタ…

mothercoat「+birdless」

もっとぐちゃぐちゃで解釈するのも難しいのかな、と身構えていたのですが、聞いてみたら一曲一曲違った印象を持つ音で、ポップではあるもののどろどろとしたものも漂っていました。さらさらと流れていきそうでひっかかりを覚える、耳障りが良さそうに思えて…

オール明けの早朝の景色は厳しさがつきまとって、世界がまだ動き出す前の停滞を感じてまどろみながら白い息を吐き出しました。桜が見頃になった大きめの公園を通るとベンチに猫、坂をころげて横を向くと塀に猫、自宅前の道路には見慣れた外猫。三匹の猫にし…

桜は満開でも花びらはまだ散っていないので、一年前に通った桜並木の下にある川は色がまだ沈んだまま。

dai-butsu bros presents 「東京☆JAP vol.10」

う、うらやましい!という昼のライブの話を聞いたり、あたたかなおでんを食べたりして久しぶりのオール、ひさしぶりのQUE。眠気に勝てずうとうととしながらも居心地の良いイベントでした。 フロアに流れる音は邦楽で、今時のものから少し前の懐かしいナンバ…

アナログフィッシュ「SIX PISTOLS」

チャイムが鳴っている。

黒澤珠々「楽園に間借り」

ヒモな男の子のお話ではあるのですが、ヒモという単語から連想する生活とは少しずれていて、現実を知りもしないのにリアルな印象を受けました。対照的なもう一人のヒモの子がちょっとはじけすぎているような感じがして、そこだけ漫画というかドラマっぽく思…

光浦靖子・大久保佳代子「不細工な友情」

ひねくれ同士にただよう緊張感がたまらなくて、文章を通じてお互いを思い合っていることが十二分に伝わってきました。好きでも嫌いでもある、友だちだったけれど相方でもあって、そこに恋愛が関わったこともあるのでより複雑になっていて、彼女たちの関係性…

SPECIAL OTHERS「QUEST」

バージョンアップして不慣れだったせいか、間違った同期化をしてしまったため白い機体に入っている曲数が限られてしまい、聞こうと思っていたアナログは断念しました。その代わりに選んだのは遊び心のある音が中心の、ゆらぎが心地良い曲たちでした。イメー…

伊藤たかみ「雪の華」

共感覚を題材にした、恋愛を絡めた人と人との関係性についての物語。少ししか伊藤さんの作品を読んでいないのですが、他の作品と少し違ったような印象を受けました。共感覚はささいなものを含めると私にもわかるところがあって、でも実際にきちんとした感覚…

BIGMAMA「short films」

勢いがあって刹那的で、若さあふれるエネルギー、けれどバイオリンの音が入っているので乱暴ではなくて、適度に狂った世界がぶれていました。ああ若いなあ若いなあ、と感じてもそれが嫌なわけではなくまぶしくて、ここに渋みがまざるとどうなっていくのだろ…

リキッドへ気持ちが持っていかれそうになっても我慢、劇場へ足が向かいそうになっても我慢、送られてきた今後のスケジュール表を確認して、我慢のやりくりを考えました。明日は明日でNESTを我慢。

鴻巣友季子「やみくも―翻訳家、穴に落ちる」

ふふ、とほおをゆるめてしまうような、やわらかなエッセイ。訳者さんだけあって言葉のこだわりも作家さんとは違っていたので視点もおもしろかったです。一つひとつの単語に向きあっていく孤独な作業や、選び取ったものへの優しさ、翻訳ものが苦手な私でも彼…

「猫路地」

かわいい猫たちが出てきてそれを愛でるような物語のオムニバスかと思いきや、幻想的でファンタジー要素たっぷりの世界が広がっていました。動物ものだからといって感動的に描いたりはせず、もやもやと煙に巻かれるようなものが多く、猫のように実体をつかめ…

井上香織「やさしい旋律」

web上で公開されていた小説を加筆したもので、ケータイ小説ではないためか縦書きとなっていました。展開やテーマなどが、いかにもというものだったためひっかかりを覚えることなくすらすらと読めてしまいました。

嶽本野ばら「下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件」

続編というよりも番外編と呼んだ方がしっくりくるかもしれません。適度におちゃらけていて、ユーモアもやっぱり散りばめてあるので不意打ちをくらってしまったりしたのですが、テーマとしては王道のものを扱っているので青春ものとして読むことができました。

Studio Apartment「World Line」

パーティーチューンという言葉にぴったりの、キラキラした曲たちは思い思いに音を施されていて、浮ついた気分になりながらも落ち着いたものも流れてくるため、深く考えることなく入り込んできました。私のような初心者でさえ踊りたいな、と思わせてくれるも…

MEG「BEAM」

電車に乗る前の覚悟として、はじける音楽を選ぶことにしました。静かな情景を描いているものやガリガリのギターを聞いてしまうと気持ちまで揺れ動いてしまいそうだったので、キュートさがたっぷり詰まった音でお茶を濁しました。 いつも以上に混雑している車…

必要に駆られて眼鏡、四本目。両目で0.1ぐらいですと教えてもらって、裸眼ではもうにじんだ世界しか見られないのだと切なくなりました。

嶽本野ばら「下妻物語」

映画は映画で見てみたいのですが、原作を先に読んでしまいました。気取った表現がふんだんに使われているのかな、と少々構えながら読み始めてみたら、気取っていても一貫しているものだから爽快感まで覚えてしまって、あちこちに仕込まれたユーモアで時々吹…

鷲田清一「感覚の幽い風景」

「つながっていたい」というのは、いうまでもなく、まだ「死なない」でいようということだ。いいかえると、「つながっていたい」という気持ちには「生きる」ということの肯定がまだ前提として成り立っているということだ。この肯定の感情を棄てていないとい…

anonymass「anonymoss」

決して危害を加えられることがないとわかっているので目を閉じて身を委ねられる、夢さえも安心して見られる安全な世界。馴染みのあるものもないものも、とがった部分はきれいにふちどられてやわらかくされていて、元の曲も手繰り寄せたくなりました。

サカナクション 2nd ALBUM TOUR 2008「NIGHT FISHING IS GOOD」

あんなにぎゅうぎゅうのクアトロを見るのは久しぶりだったかもしれません。ソールドアウトしているだけあって、コポコポと水温が流れる中どんどんとフロアが埋め尽くされていってあっという間に人があふれていました。詰めてくださいとスタッフさんが指揮す…

旅を話して旅を聞いて、写真にうつる人物に彼女の母親の面影を見る。

穂村弘「本当はちがうんだ日記」

へたれっぷりが微笑ましくて、思わずくすりと笑ってしまうようなことばかり。大きな展開はないけれど日常に潜むおかしなことやちょっとした癖など、読んでいて肩の力が抜けていきました。

石田千「屋上がえり」

言葉の閉じ開きが絶妙で、ひらがな遣いが心地良い石田千さんの文章をもっと読みたい、と思っていたら図書館に二冊あったので、いそいそと手に取ったのでした。ひらがなを多用しているので読みやすいのかと思いきや中にたっぷりと含まれているものがあるので…

TOKYO No.1 SOUL SET「No.1」

時代遅れとは少し違うのですが、そこはかとなくおやじギャグのような雰囲気を感じてしまって、だからといって客観的に見られるわけもないのでおとなしく頭に馴染ませることにしました。ストイックさはなりをひそめてゆるさを含ませ歩調も軽やか、わーペラい…

落としもの、失くしもの、眼鏡。 ゆっくりしていたのと雨の日の自転車の過酷さを忘れていたのとで必死でした。間に合わないかもしれないとペダルをこいで、数々のものを落としてきたポケットを持つコートだと知っていて携帯や定期入れはしっかり別の場所へ入…