石田千「屋上がえり」

屋上がえり
言葉の閉じ開きが絶妙で、ひらがな遣いが心地良い石田千さんの文章をもっと読みたい、と思っていたら図書館に二冊あったので、いそいそと手に取ったのでした。ひらがなを多用しているので読みやすいのかと思いきや中にたっぷりと含まれているものがあるので進めるのにも時間がかかって、じっくりと味わいたい、頭の中に浮かぶその情景を一つひとつ愛でていきたいと思わせてくれる文章でした。夜のドラマの後にやっている、五分程度なのに濃密であるミニ番組を見た気分。そのため一気に読むより、エピソードを一日一つにしておいた方がもっと楽しめたかもしれません。様々な場所から眺めた風景、見下ろすばかりでは駄目というような示唆も含んだ文章、そして一番びっくりしてしまったのが、彼女の友人の話としてSUIKAがちらっと出てきたことでした。