アナログフィッシュ「SIX PISTOLS」

チャイムが鳴っている。


気にしないようにしようしようと思いながらもやっぱり気になってしまって、今までドラムを叩く人が変わってもそこまで違いを感じることがなかったのに、なぜだか今回ばかりは違う、ということを明確に感じてしまいました。種類というか質というか、ちぐはぐなところもあってなかなか集中できなかったのですが、いちいち反応していても仕方がないので、目の前で鳴らされている音の方に意識を向けることにしました。森さんのドラムは幅が広く、踏み込みがある分沈む厚さがありました。どちらかといえば濃密。
ステージに四人いることの違和感だって、彼らがまだ続いている証拠でもあるので、鍵盤の音が足されて綺麗におめかししている曲を聞いて、頭の中で足りないコーラスを補完していることに驚きながらも、今日のことは忘れないでおこう、と焼き付けておきました。携帯で撮影可だったものの、私の携帯の画素数は万にも満たないので、素直にあきらめました。
前進座の時にしっかりメモしておくべきだったな、と後悔してしまったのは、「LIFE GOES ON」を聞いた印象がその時と変わってしまったからでした。どちらが良い悪いということでもなくて、あくまでイメージの問題なのですが、今回は走っているレールをずっと進んでいくのではなく、路線変更、とは言ってもガコンと切り替えてもとのレールと並行していくような像が頭の中で浮かんできました。並行は平行なので決して交わることはないのですが、それでも進む方向は同じで、別物であっても隣にいることに変わりはありません。「LIFE GOES ON」も「さよなら90's」もギターのフレーズが印象的で、何かを暗示するかのようなチャイムにも思えて、今はまだイメージがあふれてくるほどに自分の中でかっちりはきていなくても、そのうち止まらなくなってしまいそうな予感がしました。
最初から最後まで、フロアから発される空気がとてもやさしく感じられて、拍手をあんなにもあたたかなものだと感じたのは久しぶりでした。大事なことは何も言わなくても、それをお互いにわかりあっている、ひとりよがりではない関係性。だから客電がついて音楽が流れ出しても心からの拍手が止まらなくて二度目のアンコールとなって、そこで演奏された「Hello」を聞いた時に「つながっている!」と何が何だかよくわからないまま強く思ってしまいました。始まりと終わりが同じ曲、そして同じ曲なのに感じ方がまったく違うというマジック。チャイムが始まりを告げるものならば、その続きをこれからも見ていきたいです。