落としもの、失くしもの、眼鏡。
ゆっくりしていたのと雨の日の自転車の過酷さを忘れていたのとで必死でした。間に合わないかもしれないとペダルをこいで、数々のものを落としてきたポケットを持つコートだと知っていて携帯や定期入れはしっかり別の場所へ入れたというのに、なぜだか眼鏡をかけずに左ポケットへ突っ込んでいたのでした。
それに加えて強風により傘があおられて折れそうになるため、より必死で柄を持たねばならず、よろよろになりながらこいでいました。さらに、前のカゴへ入れた鞄は大きめのビニール袋でくるんでいて、その袋が坂道にさしかかった際に飛んで、あーれー、と追いかけて追いかけて、何とか追いついた瞬間にビニール傘がばっさあとおちょこ状態に。柄が折れているのかわからないまま、元に戻そうと風に向かうように傘を持ち直してたたんで、再び手に入れた袋で鞄をくるみました。たぶんポイントはここです。
そして地獄の坂道を降りては登って、駐輪所へ入れて上映には間に合ったのですが、いざ座席についてポケットを探ってみたところ、ガムしかない! 焦ってあちこち探してもなくて、時間もなかったためすぐに上映開始、泣きそうになりながらスクリーンに向き合うしかありませんでした。結果的にはあまり大きなスクリーンではなく座席も中央だったため、多少目を凝らせば字幕を読むことができたのですが、細かなところまで見ることはできなくて、それはそれは落胆しました。
どうやら私は物質的に何かを失くし続けているようです。このままでいくと失くしたものでコレクションが出来てしまいそうなのですが、まさか眼鏡を落とすとは思いもしませんでした。ちなみに傘は広げてみると元通りになっていて、見終わった頃には雨も止んでいました。良かった、と胸をなでおろしたところでマイナスがプラスになったわけでもなく、映画の内容のこともあってどんよりしています。これ以上私は何を失くすのでしょうか。