サカナクション 2nd ALBUM TOUR 2008「NIGHT FISHING IS GOOD」

あんなにぎゅうぎゅうのクアトロを見るのは久しぶりだったかもしれません。ソールドアウトしているだけあって、コポコポと水温が流れる中どんどんとフロアが埋め尽くされていってあっという間に人があふれていました。詰めてくださいとスタッフさんが指揮するほどで、招待があったにせよ彼らの人気っぷりがよくわかりました。

海の中から見える太陽、あるいはその光を反射している水面のようにきらきらと輝くライブを見ることができてしあわせでした。


インストアライブは間に合わなかったので見るのが久しぶりなような気もする上、初めてライブで聞ける曲がたくさんあったので最初から恋しているかのように胸がドキドキとしてしまいました。ステージ上から発される熱気、というよりも熱量と言った方がふさわしいかもしれません、そのエネルギーの瞬発力がたまらなく強くて、しかも自分たちだけで楽しんでいるのではなくお客さんも楽しませようという気持ちまで伝わってきました。無理矢理にあおるのではなく、自然に体温を上げられているような感覚。ステージとフロアを比べたら、もしかするとステージの方があつかったのかもしれませんが、バランスはとても良いように感じられて、前半、中盤、後半と区切られた世界もそれぞれ違う色を見せてくれて、この人たちは羽ばたいていってしまうのだろうなあ、とまぶしくなってしまいました。
男前なのにもかかわらずきちんと色気もあるベースの草刈さんはやはり格好良く、さりげなく音色を変えては鍵盤に重なっていく旋律を弾くギターの岩寺さんに後ろから見守りながらしっかりと支えている江島さん、低温に見えるのにどこかに熱を隠し持っているように見える鍵盤の岡崎さん、そしてボーカルの山口さんは指揮者のように振舞ってみたりMCでも頑張っていて、メンバーがそれぞれに楽しんでいる様子がわかりました。
静と動、白と黒、陰と陽、相反する二つのものを持ち合わせていて、閉じているような世界に見えても表現する時は自然に人を取り込んでしまうような力を持っているので、装飾されている音に耳を澄ますだけではなく曲の世界にも抵抗なく入り込むことができました。「GO TO THE FUTURE」などはジャズ風にアレンジしたりして遊んでいて、アンコールで急遽やることになったメンバー紹介のソロ回しもぐだぐだになることなく各々弾きこなしていて、とっておきの瞬間に立ち会えたかのようで何度ドキドキさせられたかわかりません。これから始まるぞ、というあの予感はたまらなくて、忘れてしまわないようにいくつかのシーンを刻み付けておきました。
「ナイトフィッシングイズグッド」はライブだと生で発される光のパワーを感じて、女の子のコーラスが上手い具合にしなやかになっていて、ぱああっと壮大な世界が広がっていきそうでした。お客さんと一緒になって歌った「アムスフィッシュ」は回数をかさねてきた分重みがあって、演奏されればされるほど良い味が出るのだろうなあ、と思える曲でした。ラストの「白波トップウォーター」は一つの世界、一つのステージの終わりのしめくくりとしてはぴったりで、世界の見せ方が完璧に近かったのでこの次はどうなるのだろう、と心配になってしまうほどでした。あれもこれもと曲の印象を述べたらきりがありません。


キラキラと輝いていて、若く見えても実は自分と同年代の彼らを見ていたら、ああ私も頑張らないとな、という気持ちになりました。とても良いライブを見せてもらった分、自分もなんとか踏ん張っていきたいです。