鴻巣友季子「やみくも―翻訳家、穴に落ちる」

やみくも―翻訳家、穴に落ちる
ふふ、とほおをゆるめてしまうような、やわらかなエッセイ。訳者さんだけあって言葉のこだわりも作家さんとは違っていたので視点もおもしろかったです。一つひとつの単語に向きあっていく孤独な作業や、選び取ったものへの優しさ、翻訳ものが苦手な私でも彼女が訳したものならば抵抗なく読めてしまいそうな気がしました。ユーモアのあるエピソードに、脱力気味なイラストもよく似合っていました。
なんとなく借りただけだったのですが、よくよく見ると帯に堀江敏幸さんがコメントをしていて、ははあ好みは似るものなのだなあ、と運命を感じてしまいそうになりました。