2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

西加奈子「こうふく あかの」

西さんの描く物語はところどころに男くささがにじんでいるようで、この作品も猪木が出てきたりしたのでむふふとなってしまいました。地続きになっていてもみどり編とは違った世界で、なんだかんだ言いつつ結局人間の体温に安心するような、やさしい場所でし…

井上荒野「夜を着る」

旅にまつわる短編集ということですが、旅行ではなく旅、と言うところがポイントなのかもしれません。日常の中にするすると入り込んで来た旅の違和感、恋愛要素が絡んでくるのでよりいっそうその意味合いが濃くなってきて、息苦しくなりながらも濃密な世界に…

Digitalism「Idealism」

今更な感がありつつも聞いてみたら思っていた以上にとっつきやすくて名前の通りデジタリーズムーとつぶやきたくなってしまいました。聞きやすいリズムに乗せられる電子音も安定していて、ちょっと物足りないと感じる人もいるかもしれませんがさらさらと聞く…

バトンをいただいた時、「これは!」と強く思ったのですが更新されてしまったので多少変わってしまいました。マリさん(id:honeymoon_kcl)に言っておきたいことはまとめると二つあります。一つは、キング好きなら私も負けませんよ!ということ。もう一つは…

『おくりびと』*2

外国の方々が見たら文化という視点において面白いのかもしれないな、と思ったのですが自国の自分でも滅多にかかわりあうことがないため、様式美を楽しむことができました。穏やかに進んでいく話と俳優さんの丁寧な演技が静謐な世界を演出していたのですが、…

河合隼雄「人の心がつくりだすもの」

さまざまな分野で活躍している方との対談を取り上げたものなのですが、どんな感じであっても自分に引き寄せていく河合さんのすごさがよくわかりました。色々とメモしておきたいことはあったのですが、印象的だったのは森村泰昌さんの発言。 よく、「アートを…

松尾由美「フリッツと満月の夜」

さらっと読める、ちょっとしたミステリーやファンタジーが混じった爽快感のある話でした。謎解きものに関して疎いため、読み進めて解明しないとどういうことなのか全然わかりませんでした。

SOUR「rainbow under the overpass」

丁寧に編みこまれるギターの音が気を引くのはもちろんなのですが、やはりそれ以上にひっかかりを覚えるのは低く響くベース音でした。メロディーと重なり合って世界を作り上げていって、歌声のあたたかみを手伝っていました。ライブへ行って生の音を聞こうと…

散歩で通る大きめの公園で聞こえてきたのは子猫の鳴き声。場所をさぐると茂みにいて、私と同じく気にしていたお姉さんが寄って呼んでみるとアメリカンショートヘアーらしき子猫がいまいた。飼われていたらしくなついてきて、それでも親を呼んでいるのか鳴き…

散歩をしていたらラウドなパークへ来た方々がわんさか。犬お気に入りの場所は物販で遮られていたので、迂回しながら様子見。

感謝の気持ちを表す時、ありがとう以外の言葉がないのがとてももどかしくて、これだけでは足りない、もっと他にないのか、と何度も何度も思ってしまいました。言葉だけで足りないのならぎゅっと抱きしめたいところですが、それでも足りません。

オムニバス「Twinkle―ひかりもの (teens’ best selections 17) 」

児童書に強いポプラ社から出ている、シリーズ名通り十代に親しみやすいオムニバス。「Fragile―こわれもの」に続いて二作目で、こちらはいくつかの縛りがありつつ、きらきらとしたものを描いていました。そのうちの一つに関西のどこかの町が舞台ということだ…

祈りは通じず間に合わずじまい。空想の中で聴くことしかできず、体感できるのは来年までおあずけ。ああ、高木さん……。

桜庭一樹「荒野」

女になる前の女の子のおはなし。とても読みやすく、ゆらゆらと揺れる心情と行動が目に浮かぶようでした。ちょっときれいすぎて軽いかなという気もしたのですが、テンポ良く進んでいくので斜めに見てしまわずに済みました。

オムニバス「本当のうそ」

やさしかったりにがかったり白かったり黒かったりする、それぞれの嘘のものがたりは世界の濃さも違っていて、気持ちをくるくると変えながら楽しみました。

どうか明日、間に合いますように。

長塚圭史「COFFEE SHOP〈2〉―長塚圭史対談集」

1を読んでいないもののラインナップにそそられて。魅力的な俳優さんとの対談で、作品を作り出す人、演じる人だからこその視点もあったため未見の作品にも興味が出てきました。長塚さんのことを好きな人は結構いて、あの舞台も良かったよーすごかったよーとい…

さとうさくら「メルヘンクラブ」

豊島さんとはちょっと違ったタイプの駄目女子を描くさとうさん。今回も駄目女子を痛々しさ満載で彩っていて、彼女だけではなくその周囲の人々もかわいた滑稽な目線で登場させていました。豊島さんの方は痛々しかったり苦かったりしてもどこかにきらめきがあ…

中原昌也「ニートピア2010」

個人的な好みからは少しずれてはいるのですが、やっぱり中原さんの愛嬌にやられてしまいました。ストーリー重視の人からすると全くもって論外なのかもしれませんが、一つ一つの物語の中で日本語を使って遊んでいて、見た目も含めて味わいがいがあるものにな…

曽我部恵一Band「トキメキLIVE!」

ライブの熱気がそのまま圧縮されていて、しかもそれぞれの曲中に地名を叫ぶものだから違う場所で歌われていることがよくわかって、目を閉じてその光景を思い浮かべたくなりました。きっと曽我部さんは汗だくになって歌っているのだろうなあ、とすっかり耳に…

磯崎憲一郎「眼と太陽」

きれいなものがするするとすり抜けていく。

neco眠る「engawa boys pentatonic punk」

歌が入っているものと思い込んでいたのでインストで意外、さらにインストの種類もスタイリッシュだったり繊細だったりパワフルだったりするのではなく適度に力の抜けたものだったので見事に裏切られてしまいました。裏切られたといっても当然良い方向で、ち…

『ペネロピ』*3

産まれながらに豚の鼻を持つことになってしまったお嬢様の女の子は閉じ込められた生活を送っている、という設定だけ聞くと結構ひねくれた性格になっているのだろうなと想像して、個人的な好みとしてもそのひねくれ具合を見るのが興味深かったりするのですが…

シティボーイズライブ「愚者の代弁者、うっかり東へ」

やっぱりおじさんたち良いわあ、素敵だわあ、と今よりずいぶんと若い五人を見ては飽きることなく笑ってしまいました。ちょっとした苦味もどうしようもないくだらなさもあって、五人それぞれに見どころがあるので気に入った場所を挙げろと言われたら困ってし…

『パコと魔法の絵本』*5

『トウキョウソナタ』の後に見るなら世界の違うこれかな、と思っていたのですが、続けて見てしまったため余韻がなかなか抜けきれず、テンポに慣れるまで時間がかかってしまいました。今思えば二作品ともじっくりと味わう余裕を持っておきたかったです。 舞台…

『トウキョウソナタ』*4

前情報を入れずに見たかったのでもっと後味が悪いのかと思っていたのですが、監督が希望を残すものにしたかったと語っていたらしく、明確なハッピーエンドではないかもしれないけれど光が見えるものとなっていました。一見普通の家庭を描きながらそこで抱え…

金木犀に銀杏のにおいが混じりはじめました。

ななめ45゜「TRIO DE CARNIVAL!」

先週のラママできちんと見てみたくなったのでレンタル。なるほど先週の家庭教師ネタのものは彼らの持つパターンの一つなのだな、ということがよくわかりつつ、同系統のものが多いとちょっと食傷気味になってしまうかなあと心配にもなったのですが、これが初…

運動会日和。

川上弘美「真鶴」

他の作品で感じることはなかったので、この中でのみ通用する世界なのかもしれませんが、なんとなく石田千さんの描く文章に濃さが似ている印象を受けました。綿密に、じっとりと、においたつものがある色気。