河合隼雄「人の心がつくりだすもの」

人の心がつくりだすもの
さまざまな分野で活躍している方との対談を取り上げたものなのですが、どんな感じであっても自分に引き寄せていく河合さんのすごさがよくわかりました。色々とメモしておきたいことはあったのですが、印象的だったのは森村泰昌さんの発言。

よく、「アートを遊ぼう」というワークショップみたいなのがありますが、子どもにそれやると、子どもは柔軟だから、すぐ遊ぶフリができてしまう。それにね、子どもたちは、楽しいフリをしてやると大人は喜ぶだろう、きっと大人はご機嫌になるだろうというふうに思ってやっているところがある。それで、大人が「楽しい?」と聞いたら、「うん」なんて答えて、楽しいフリをするけれども、ほんとうにそれって楽しいのかな。楽しんでるんだろうけども、そこにはフリもあると思うんです。
ところが、これから自分たちがいったいどこに連れていかれるんだろうか、いったいこれからどうなるんだろうかっていう未知のものについては、フリができないんです。フリができなくて、本人たちがまじめに向きあわないと次のところに進んでいけない。しかも、それがなにか知らないことなので、ドキドキする。