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旅の誘い 大佛次郎随筆集 (講談社文芸文庫)

「お」
本当は小説の方を読みたかったのですが、あいにくと図書館にはシリーズものしか置いていなかったのでいつか余裕がある時にでもということで随筆を選びました。講談社学術文庫は昔の作品をきれいに整えた形で届けてくれるので、古本などはそれ自体に時代を感じさせてくれるので好きでもあるのですが、文字として認識しにくいぐらい細かいものがあったりするため、見慣れた体裁にしてあると現代のものと同じようにして読めるのでありがたいです。ただページ数の割に他の文庫に比べて割高なので、なかなか手が出しにくかったりします。
初めて読んだ大佛さん、前半では鎌倉や横浜など神奈川に対する愛情が綴られていて、埼玉っ子である私は風情がある土地に対してうらやましし気持ちをいだいたり、当時の文壇の様子やその作家との関係性がほほえましくもあり、大佛さん自身のキャラクターにもひかれるものがありました。後半は彼の作品ともかかわってくる義経など歴史に関する随筆もあり、余計に彼が書いた小説を読みたくなりました。次に読むとしたら有名どころを選んで「パリ燃ゆ」、でしょうか。