『パーマネント野ばら』*3

原作も読まず、予告編も見た記憶をなくしていたので完全に何の情報もないまま見たのですが、それが良かったのかもしれません。レディースデーということもあって男の人の姿が見当たらず、作品自体も男の人にはちょっと伝わりにくいのではないかなという機微がありました。ばっちりネタバレするので閉じます。


くすくすと笑うようなところがあって、それぞれが足りない面もあるけれど続いていく日常を描いていくものだとてっきり思っていたので、パターンとしてはありがちかもしれませんが心の準備をしていなかったこともあって、終盤に不意打ちを食らって見事にやられてしまいました。菅野美穂の演技が幼いなあと感じるところがあって、動作がやけに子どもっぽいと思っていたらそれは江口洋介に向けての態度のみと知った時の驚き! 振り返れば伏線はいくつも張られていたのですが違和感程度だったので、江口洋介の正体がわかった時には様々な思いがあふれて目にも何かがあふれてしまいました。個々の愛が描かれていく中で、まともだと思っていた主人公の愛が反転する様ったらもう、にくいです。
キャラクターもそれぞれに立っていて、それに合うような服装も印象的でした。主人公も恋人に会う時だけ白い衣装を着ている、というのも目に焼き付いていて、日常の中ではスカートを着まわしているところも良かったです。濃いキャラの中でも自分を持っているような主人公が守られている環境、その視線の優しさを知ったらどんどん余韻が生まれて困ってしまいました。
上映終了後、近くにいた女子たちが「江口洋介かっこいい」というようなことを口々に言っていて、最近は「ガイアの夜明け」案内人二代目の人だと思っていてごめんなさい、とひそかに謝りました。彼の色気にやられた女子は相当いたことでしょう。