エイミー・ベンダー「私自身の見えない徴」

私自身の見えない徴
とても濃密な世界。女の子らしさ十分にこめられていて、ちょっとした倒錯や子供たちの残酷さなど一筋縄ではいかないところも絶妙に絡み合っていました。先日読んだ作品でも感じたように、いつもは抵抗を感じがちな翻訳文体も世界を見事に演出していて、日本の作品でこう描こうと思ってもうまくいかない、あるいは私の方が好みとして受け入れられなかったかもしれません。時間をおいてふっと思い出す一節があるように、頭の中に何かがひっかかったままです。男の人よりも女の人の方が共感、という表現ではしっくりきませんが、感じることが多いような印象がありました。この作品も手元に置いておきたいです。