金原ひとみ「星へ落ちる」

星へ落ちる
おおー、上手い! と思わずうなってしまいそうになりました。恋をして愛をして相手にのめりこんでいくけれど、それを相手に悟らせてはならなくて息苦しくなっていく、狂おしくてたまらない、その描写が丹念にえがかれていて、三人の視点で語られるのに一人だけつかめないまま、というところが面白かったです。描かないことで得体の知れなさが浮き彫りになっていて、相手の魅力がどこにあるのだろうと考えてしまいました。