秘密の花園

秘密の花園

思春期の少女の持つあのにおい。女子校独特の雰囲気がよく出ていて、場所が都心から少し離れていてカトリック系だということも世界を閉じ込める要素の一つとなっていました。私が通っていたところはそれほどではありませんでしたが、カトリック系に通っていた友人のところでは賛美歌の授業があったり、土曜がきっちり休みの代わりに教会へ行っていたり、規律を重んじていたようです。出てくる三人の女の子は多少現実感に欠けますが、途中から入ってきた子たちとの違いや男の先生の人気具合など、うっすらとわかる部分もありました。本当はもっとどろどろとしているのにわざと流しているように感じるところもあって、ああ上手いなあ、と感心してしまいました。文章も読みやすくすらすらと進められるのですが、言葉の端々にしをんさんが積み重ねてきたものが見えて、知識をひけらかすのではなくほんのりとその存在を感じられるのが良かったです。