世界でいちばん淋しい遊園地

世界でいちばん淋しい遊園地

装丁が気になって手に取って、これは野中柊さんの「祝福」を手がけた人と同じだろうかと調べてみたところ勘違いはなはだしいという結果に至ったのですが、「角川書店装丁室」というところは共通していました。
装丁と題名からニュアンス系かなと思っていたのですが、それぞれの章で主人公となる人たち同士の関係がちらっと他のところでほのめかされたり、繋がりを知ってまたページを戻してみたり、バリエーションも様々で舞台が閉園するさびれた遊園地というところに上手くしてやられました。栄えていたころの遊園地とその頃の人々と、現在の対比が描かれれば描かれるほど切なくなってしまって、ラストの章ではファンタジー要素が出てきて面食らったりもしましたが、しみじみと噛み締めながら読み終えることができました。人もまばらの遊園地の記憶をたぐってみたり想像したり、妙な感慨がわきあがってきて色々と遊べそうな気もしましたが、そこは抑えておきました。