100回泣くこと

100回泣くこと

文体が若いので同年代ぐらいかと思っていたら、一世代ぐらい上の方でした。それぐらいみずみずしく文章に若さが溢れていて、会話のやりとりも違和感なく受け入れることができました。ペットと彼女と病気と死と、そういったキーワードが出てきた時点で感動ものだろうなと気持ちがさめてしまわぬように覚悟して読み進めていったものの、押し付けがましい描写はあまりなく、ぼかしたり淡々としたりしていたので一安心。王道のものをどうやって味付けするかということはその人の力量をはかられる部分でもあるので、犬と彼女とバイクとを織り交ぜながらすっと哀しみを挟み込んでくるのがとても上手だなあと感じました。