夜の扉

夜の扉

「て」
幻想的で映像的で断片的で、ヨーロッパあたりの短編映画を見ているかのようでした。断続的に掲載されたものをまとめて少しつじつまがあうようにした作品のようで、章によって視点が変わったりしながらもエピソードごとに色があるので違和感無く受け入れられました。普通の人間には見えないけれど確かに肉体として存在していて、夜の夢の中でのみ見ることができる彼らの描写があまりに現実的で、もしかして本当にいるのではないかと思ってしまうほど。子供が出てきたりする夢の描き方もありそうなものばかりで、終わり方は予測していたものとは少し違いましたが、終始ぼんやりとした世界を味わうことができました。明確に表現したりつかんだりすることはできないけれど、この作品自体が夢のようで、漠然とした理解のようなものがありました。