メゾネット

メゾネット

「す」
彼と彼女の関係性がさりげなくあきらかになっていて驚く部分もありながら、ひっそりと閉じた世界を静謐な文体で綴られていて終始穏やかでいられました。白いのに穢れを描いていたり、色々と対照的なものがあったりして、雪が降って外に出られないあの感覚を思い出しました。高層マンションにいるとそうか、飛んでいるかのような錯覚がすることがあるのかと地べたに這いつくばる生活をしているものとしては不思議な気持ちに。透明感のある少女を作り出すのはなかなか難しくて、そこに現実味を持たせるのはもっと難しい。