『或る音楽』*3

いろいろとしわ寄せが来ていても絶対に見る、何があっても見る、目がスクリーンを拒絶したとしても音だけ聞く! というかたい決心のもと、吉祥寺を迷いながら何とか劇場へとたどり着けました。
昨年アンコールさえ間に合わず悔し泣きをしたコンサートの様子が収録されているので、ある程度覚悟していたこととはいえ、「生で見たかった」と思い出し悔しがりを何度もしてしまいました。記録とすることで、ある程度体温が奪われてしまっているような気がして、実際に見ていた時と受け取った感情は違ってしまうのかもしれませんが、それでもスクリーンで見ておいて良かったです。自宅のテレビで見るより何倍も何倍も映画館という環境が良く、音が迫ってくる感じも、同時上映されたとても静かな作品も、他のお客さんと空間を共有し合える感覚を味わえて満足でした。
高木さんが思い浮かぶ音楽のこと、その音を紡ぐ時に浮かぶイメージのこと、さらに奏でている時に動く指と体のこと。今まで音源でしか知らなかったものが映像の力によってより立体的になっていき、もしかしたら眠くなってしまうかもという心配は必要ありませんでした。ああ、あの曲を生で聞きたかった……と、しばらくイヤフォンをつけず何も耳にいれず余韻にひたり、思い出しては後悔を続けています。
関東の公開は今のところ30日までなので、スクリーンで見ておきたい方はお早めに。