『空気人形』*4

映画を先に見ないとサントラが聞けない! 早く見たい! と強く思って近所のシネコンまで。疲れぎみだったので大丈夫か心配だったのですが、集中が途切れることはなく、ずっとスクリーンに、スクリーンの向こうに釘付けでした。
今までの是枝さんの作品のように示唆する場面は多分にあったのですが、いつもとは少しテイストが違うようにも感じました。そしてたくさんの要素を含んでいてそのことで頭の中がごちゃごちゃしていっぱいになってワーとわけがわからなくなっていても、なぜか解決しようという気にはなりませんでした。一つ一つをつまんで解釈したくない、言葉にしてしまいたくない。形にしてしまったらもろく崩れてしまいそうなものがいくつも積み上げられていて、簡単にまとめられることなのかもしれませんが、意味を限定したくなくて見終わった後しばらく放心したように歩いていました。サントラをまだ入れていなかったので他の曲で埋めようという気にもならず、余韻だけを引きずっていました。
首をかしげてしまうようなところもあるにはあったのですが、あの世界へ入り込んで吸い込んだものを自分の体に充満させたら、気にならなくなりました。と、気取ったことも書いてお茶を濁しておきます。
予告編から受ける印象と結構違うので軽い感じかと思って見に行った人にとってはきつかったかもしれませんが、是枝監督の作品が好きな私としては、また何年後かに見たくなる作品でした。ああ、『ワンダフルライフ』もそろそろ見ごろです。