ハル、ハル、ハル

ハル、ハル、ハル

一冊まるまる表題作かと思っていたら三篇が収録されていました。どれもこれも古川さんにしか描けない世界で、生き急いでいるかのように物語を駆け抜けてしまいました。呼吸するリズムに合わせて文字を刻んでいくようで、立体化してくる錯覚まで抱いてしまうほど。誰にも言えないまま静かに興奮して、ほのかに残る余韻に酔いしれながら静かに本を閉じました。