泣かない女はいない

泣かない女はいない

淡々と、退屈さえ丁寧に描写していて、埼玉県の大宮より先に行くにつれて漂う空気感のようなものに反応してしまいました。繋がっているのに隔離されているような微妙な距離感と、会社の中のコミュニティのようなもの。大きな事件はありませんがゆるやかな日常の一部が切り取られて、きっとそのことさえ忘れてしまうかもしれないけれどある時ふっと思い出すような苦みもありました。二つ目の作品も味があって、音楽を聞く手段がテープだったりというところに懐かしさを覚えてしまいました。メタルは高かったのでせいぜいハイポジにしていたなあ、という具合です。