彼女がその名を知らない鳥たち

彼女がその名を知らない鳥たち

「鳥」
上の方はどろどろと濁っていて濃いのに、下の方は濾過されているのか分離しているだけなのか、澄んだ水がたまっているようなイメージ。ミステリーの要素もありながら進んでいく、美しいだけではない恋愛物語は格好悪くて醜いものなのに、なぜだか出てくる人たちのことを憎たらしいとは思えませんでした。停滞していた物語が終盤にガラッと変わっていく様子は、普段どんでんがえしものを読まない私にとってぐいぐいと作品世界へと引き込まれてしまいました。