サブカルチャー文学論で取り上げられていた作品で、断片的な引用がいくつもされていたのでどんなものなのかと探してみたらありました。まさに当時のシティ派ぼく文学、とでも言うのか、その時の旬である単語や今は通用しない常識などがあって、小難しい言葉も出てくるのですがその雰囲気さえなんとなくわかっていれば大丈夫なようにもなっているので、単純にぼくがぐるぐると色々なことを考えたり感じたりする様を優しく見守ることができました。何かに気づくこと、その描写は時代を経ても新鮮に思えました。終盤で盛り上がるところは結構ドラマティックで、淡々としながらも静かな熱を感じました。シリーズものらしいので、続きを読まないと由美という女の子のことが非常に気になります。