ようちゃんの夜 (ダ・ヴィンチブックス)

ようちゃんの夜 (ダ・ヴィンチブックス)

その時の気分によって大分印象が変わってくる作品かもしれません。思春期のある時に読んだらどんぴしゃで衝撃を受けてしまうのかもしれませんが、繊細よりも鈍感であることを選んでしまった今だと何だか微妙に噛み合わないままに読み終えてしまいました。彼女らしい独特の擬音語擬態語や比喩が駆使されていて、それが作品の世界を彩っているので相乗効果となっているのかもしれませんが、どうにもこうにも気になってしまって、思春期の女の子がはかなげであやうげな女の子にあこがれるという設定は非常に興味深いものではあったのですが、残念ながらしっくりときませんでした。そのものを描かないことで描いているのに、浮き上がってきたもの自体の印象が薄いというか、インパクトが弱いというか、普遍的なテーマを扱っているので比喩にごまかされてしまったような気がしてしまいました。でもがつんと来る人は確実にいそうなので、ぱらっとめくって目に入った一節に引き込まれるようなら、どっぷりと世界に入り込んでしまえそうです。