71フラグメンツ [DVD]

71フラグメンツ [DVD]

ざくざくと切り刻まれて断絶された暗闇でつながれたいくつもの日常、意味合いを持たせる前に切り替わってしまう情景、解釈を拒否する会話、何かを感じて考えずにはいられない長回し、ニュースとして流れる時代背景。ハネケ監督「感情の氷河化」三部作のラストだったのですが、二作品が家族をテーマに無機質に無感情に扱っているのに対してこちらはそれより少し焦点を広げたようになっていました。相変わらずの拒絶っぷりにひきつけられながらも、特典映像にてたっぷりと語ってしまうのはちょっともったいないかなあという気がしました。「典型的な誰もがよく知ってる断片を描きたい」、「知ってることと理解することは別物だ」、「直接描写しないことでもっとそのものを感じることができる」等々の発言も、なるほどと作品から解釈する手助けになってしまったり、出来ればハネケ監督の口からは聞きたくなかったなあ、と思ってしまうのは見てしまったが故の贅沢なのかもしれません。