『善き人のためのソナタ』*1

アカデミーを獲ったとはいえシネマライズはレディースデー適用外なので、ガラガラだろうなあと期待して行ったら七割方座席が埋まっていてびっくり。マックをがさがさ音とにおいをたてて食べている方がいて、そっちに気をとられてなかなか集中できませんでしたが、見ておいて良かったです。個人的にはおじさんがたくさん出てくるところにひかれて、主人公の男の人が小日向さんみたいな、淡々とした不思議な魅力を持っているところも気になりました。
どーんと暗い気持ちになるかと思っていたのですが、扱っているテーマは重いものの展開としてはきちんとまとまっていて、憂鬱な気分になることはありませんでした。終盤についてのネタバレは閉じます。
彼女が亡くなって彼が裁かれてもう終わりかなと想像していたら、さすがドイツ、さくさくと時間が進んでその続きが心憎いものでした。最後の最後、実は自分がどういう状況に置かれていたのかわかった劇作家が書き上げた自分に関する本について、ページをめくったらそこに赤いインクで拇印があるのだろうな、と勝手にドラマを作り上げてしまったので実際のシーンが番号だったことに肩透かしをくらったような気分になりましたが、思い返してみると、一度だけちらっと出たからこそ赤が頭の中に残ってよかったのかもしれない、と考えが変わりました。