タイムマシーンに乗って vol.3

トラブルにトラブルが重なって頭がワッショイ状態、これはもう間に合わないどころか落ち着いた時には終わっているかもしれないとあきらめかけたのですが、ワッショイされている頭をもっとワッショイさせてみたら時間の密度をどうにか凝縮できたらしく、聞けなかった音はありましたが下北へと向かうことができました。世界観がどれも違くて、描き方がそれぞれに印象的だった四組のライブについては少しだけメモします。


PaperBagLunchbox
まさかトップバッターだとは思ってもみなかったので、せっかく先日聞いた新曲がどう変わっているのか、どう感じ方も変わっているのか知りたかったのに願いは叶いませんでした。けれど「おやすみ」を聞くことができて良かったです。甘い余韻があって、ラストにふさわしい曲。聞くたびに優しくなっていって、聞くたびに切なくなってしまう、母性を感じる音でした。白い照明が上から照らし出されて今回も何かが降臨するかのようなイメージがありました。違った種類の轟音、いつか「藍時」と「おやすみ」を同じライブで聞いてみたいです。


メカネロ
新しいボーカルになって、「女の子」から「少女」という印象に変わりました。前の大森さんは何かをふくむような、ふくらむような歌い方をしていたのに対して、茨木さんは伸び上がって透明感を見せながらもさくさくと切り込んでくる鋭さを感じました。それに加えてちょっとした艶っぽさを時折見せるのが不思議でした。既存の曲だとやっぱり比べてしまって似ているかなと思ってしまうところもありましたが、同じ音なのに声によって世界の色が少し違ってきていて、思春期の少女のはかなさが浮かんできました。



WATER WATER CAMEL
引き合いに出すのは両方に失礼、ということを踏まえても挙げたいのは、きっと彼らのことを好きな人はCAMELのことも気に入ってもらえると感じたからで、編成はサポートのドラム・パーカス・鍵盤さんにメンバーはギター・ベース・アコギボーカルだったのですが、なぜだかオトナモードのことが思い浮かびました。オトナモードがちょっと背伸びをしているのに対して彼らは肩の力を抜いて、時にはしゃがみこんだりして身の回りのことについて歌っているようなイメージがありました。アコギに乗せられる優しい歌声、そして笑顔全開で素敵だったサポートのパーカスさんの音もスパイスとして効いていて、曲ごとに違う情景が丁寧に描かれていました。全国流通版のアルバムも出たばかり*1のようで、音源も聞いてみたくなりました。


花のように
一曲目のはじまりからぞくっとした、のですが、久しぶりに聞いたのが初めて耳にする曲だったせいか、最初の方はなぜだかちぐはぐでかみ合っていないような印象があって、頭が疲れてしまったのだろうかと心配になってしまいました。様々な楽器を使ってそれぞれに独立して展開されていくのですが、それが一本の糸になる前にほつれてしまっているようで、聞きなれていないせいかなあ、と思っていたら、徐々にそんな不安はなくなって、ベースの加藤さんが最後ということもあってか曲が進むごとにぐいぐいと引き寄せられてしまいました。打ち込みの電子音も嫌いではありませんが、生の楽器の音は弾いている側の感情が直に伝わってくるから強いです。アコーディオントロンボーン、鉄琴、バイオリン、いくつもの音が曲を彩ってはかなげな声と寄り添って絡まって力を増していくかのようでした。
アンコール二曲目は本当に予定になかったものなのかもしれませんが、また聞きたいなあと思っていた「夜行列車」で、今日のこの曲は以前聞いた時より音源で聞いていた時よりも情感がにじみでてきて、わけのわからない気持ちが盛り上がってきました。同じメンバーでのライブはもう見られないですが、とても、良いものを見られた気分です。


どれもこれもイメージがわいたライブで、バンド同士も仲が良いらしくフロアで他のメンバーがシャボン玉を飛ばしていたり、気持ち良さそうに揺れていたりして、雰囲気も良いイベントでした。今後も続けていくようなので、都合がつけばまた行きたいです。
おかげさまで頭の中がワッショイ状態だったことも忘れられて、明日もワッショイ状態になることも考えずにすみました。