まさに実験映画、と言い切ってしまうよりもNHKのドキュメンタリーという印象の方が強かったです。時々昔のドキュメンタリーを見たりしても思うことなのですが、当時のBGMはピアノを基調としたものが多いためか妙に不気味で、モノクロだとよりいっそうものものしさを醸し出しているので不思議です。そしてこの作品もドキュメンタリーだけではなくて現実と虚構が織り交ざっているものの、見ていて理由のわからない恐ろしさに襲われる瞬間があって、石に関する作品も宗教的でさえあって背中がぞくぞくしました。寺山修司さんが作詩したものを岸田今日子さんがナレーションした「母たち」は恐ろしさを感じるのに耳と目をつい画面にひきつけられてしまう力があって、劇場で見たらうとうととしてしまうかもしれないけれど、ディープな世界に時間を置いてまた行きたいと思ってしまいました。