人間失格 (新潮文庫)

人間失格 (新潮文庫)

出鼻をくじかれたので今度こそ一作目はこれにしよう、と決心して図書館に行ったら貸し出し中。でも記憶をたどっていくと以前読んだことがあるような気がしてきて、自分の部屋の本棚に置いてあったような気がしてその映像を頼りに探してみたところ、見事手にすることができました。
本を読んでも内容をすぐ忘れてしまうので、今回ばかりは好都合ということで今年の乱読作品のスタートは「人間失格」から。昨年は作家名を50音順で読んでいって、今時の作家さんは巡ることができたのですが文豪さんたちに及ぶと選ぶのも難しく結局投げっぱなしのままとなってしまったので、今年はそんなことのないように新旧混ざることを想定して決めました。ずるいずるいと設定だけで冷静に読むことができない作品、それならばいっそのことずるい設定ばかりのものを読んでしまえば慣れるだろうし好みもわかるだろう、ということでとりあえず内容はどうあれ作品名に動物の名前が含まれているものを読んでいくことにしました。特に猫に関しては黄金パターンが出てくれば無条件に反応してしまうので、精力的に読んでいくつもりです。
ということで最初の動物は人間。前回読んだ時は主人公の滑稽な自意識過剰さに可笑しみを覚えたり他人の気持ちまで考えが及ばない閉塞的な自己の哀しさを感じたりしたのですが、今回は哀しみよりもそこから派生した恐怖のようなもの、逃れられない不安を読後に覚えてしまいました。きっと読むたびに本を閉じる気持ちが違ってきそうな作品なので、また時間を置いて読み返してみたい作品です。