夜の朝顔

夜の朝顔

豊島さんが描く世界が他の同年代の女性作家さんとちょっと違うのは、持っている陰の種類が違うからなのかもしれません。無邪気にも見えた小学生の頃の、実はどろどろとしはじめていたあの感じ、教室のイメージ、女子と女の子の狭間。ほんのささいなことにもすっと焦点をしぼっていて、思い出してちくっとなるところもありました。
例によって装丁も凝っていて、色が朝顔の花の色で統一されていて糸のしおりの水色っぽい艶っぽさにしばらく見とれてしまう始末。花ぎれ部分もうすい赤紫色になっていて、何度も本をひっくり返して中身だけではない楽しさも味わってしまいました。最近どうも音や文字だけでは飽き足らず、色にも反応してしまうようです。
そういえばL25にて豊島さんがエッセイを掲載していて、それも駄目女子とでもいうのか、気の抜けたちょっと斜め気味の文章があるので楽しみだったりします。