the universe in the pocket

the universe in the pocket

数日前にタワレコで誕生日用の映画DVDを購入するつもりが、どうしてもジャケットが気に食わなくて、目をつむってレジに持っていこうと試みたもののやっぱり許せなくて、ビデオ版の方が欲しくなってしまうほどだったのでハネケ監督のボックスにしようかな、と結論を先延ばしにしてちらっとだけ誘惑に負けて邦楽フロアまで行って、曽我部さんの新譜の紹介文を読んで試聴したら手に取ってしまうだろうという予測が軽くついたので遠ざけて、強い意志でもって試聴は避けて避けて、何か一枚ぐらい買おうかな、と思った時に浮かんだのがこのアルバムでした。
わーこれ、わーこれ、と一音聞いた瞬間からわくわくしてしまって、曲を噛み締めながらも次の曲が待ち遠しくなってしまって、こんな気分になったのは久しぶりかもしれません。いわゆる好みにズッキュン状態。陰と陽、静と動、明と暗、それぞれのどこに反応してしまうのかわかりませんが音楽に対して割と節操なしな私が今回反応してしまったのは、陽の激しくなりすぎない、聞いていたら思わずツーステップのようなスキップをしたくなるような、楽しさがにじむ曲たちでした。
コンピで聞いて以来気になっていた「イップイック」も歌詞を見てみたら、今まで「一符」かと思っていたのが実は「一譜」と知って、単語の選び方も好きだと思ってしまって音だけではなく言葉を味わう楽しみも出てきてしまいました。ジャケットの画像が出ないのももったいないです。
垢抜けきれていない、洗練されすぎていないところもまた魅力で、こんなにポップで馴染みやすいのだからもっと多くの人に聞かれてしかるべきものなのに!と鼻息荒く何度も思ってしまって、やさしくて陽気な音楽が好きな方に勧めたくなりました。他のアーティストの名前を挙げるのは気が引けるのですが、□□□のセカンドが好きな方は引っかかることと思います。彼らのようにひねくれた上でのまっすぐさが透けて見えるわけではありませんが、こちらは素直に音を耳にころがせて遊べます。今日の陽気にも合っていて、ああどうしよう、と一周目の時は興奮しすぎて「好きです」と音に対して告白しそうになりました。