キッチン・ストーリー [DVD]

キッチン・ストーリー [DVD]

『卵の番人』の監督作品な上に登場人物がおじさんばかり、その上白い雪に閉じ込められたような静かな描写! と設定を読んだだけで私の好みにぴったりすぎて、どうして公開当時劇場へ行かなかったのか早速の後悔。穏やかで静かで淡々と、大きなドラマがあるわけでもなく、へんてこな設定とおじさんたちのおかしな関係があるだけで、こじゃれた小物もあるもののその場に漂う空気が何とも言えなくて、たまらない、ああたまらない。『卵の番人』の世界が好きな人は気に入ることでしょう。あるおじさんの小さな嫉妬は、ほほえましいのにとても切なくて、年を重ねることによる慈悲や個々の背景や、多くを語らなくてもたくさんのことが描かれていました。ラストに至るまで、景色は寒そうなのにシーンはあたたかいものでした。暖房をつけないまま、毛布に包まってコーヒーで手をあたためて、気づけば冷めている中身に思わずにやり。