天使/海辺にて [DVD]

天使/海辺にて [DVD]

眠くなっても良いからとろとろとしながら映画を見たい、ということで借りた作品。紹介に前衛的と書かれていた通り、かつての前衛的とはこういうものなのだろうな、と感じられるものでした。けれど同じ映像が幾度となく繰り返され、そこにスパイスとして違ったものが差し挟まれるようになって、弦楽器の音が無気味さを誇張させているところを見て、科白の一切無い映像にテクノか何かのイベントでVJが流していそうなものだ、と感じたことと、映像系の学生が奇をてらって作った映像のようだという印象を持ったことを考えてみると、結果的に今でも古さを全然感じさせないものだという結論になりました。実験的で映画というよりも芸術というくくりの方がしっくりきて、ところどころ写真的だったり絵画的だったり、まるで墨絵のように濃淡が印象的なものもあったり、アニメーションのようだったり演劇のようだったり、あらゆるアートの要素がつまっていました。映像とともに流れていく音楽もシーンに合っていて、恐ろしさや狂気を感じさせたりして、眠くなったりはせず、繰り返される映像を好きなように解釈していたら終わっていました。
『海辺にて』の方も普段の景色にちょっとした加工をほどこすことでこんなにも世界が違って見えるのかと不思議になって、海辺の映像に雲の多い空が重ねられていたところではここが上なのか下なのか、という感覚が麻痺するのも楽しかったです。