寝不足なのでもしかしたら途中で夢を見てしまうかも、という懸念は見事に裏切られてずっと画面に釘付けでした。おもし
ろいつまらない、たのしいかなしい、というような次元ではなく様々な含みを持たせた上で、良い作品でした。ずっしりと重く、その重しもいきなりガーンとくるのではなく、気づかぬ内に持たされているようで、胸の中にわだ
かまりがいくつも生まれてはゆっくりとうずまいていました。背景を持たない私にとっては真にリアルとして受け止めることはできないので想像で補うしかなくて、完全にわかることはできなくても作り手から伝わってくるものがたくさんありました。このもやもやを言葉で表現することはなくて、劇場でしばらくの間余韻にひたっていたかったな、と公開当時迷った末に足を運ばなかったことを悔やみました。