Beat-go-round

困った困った、明日のために早く眠りにつこうと思っていたのですが、あふれてくるものをこぼし続けるわけにもいかないので適度にメモしなければならなくなりました。来週のために頭と心が準備をし始めているせいか、大分センチメンタルです。

二度目のZher the ZOO、七時少し前に到着するとお客さんはぱらぱら散らばっている程度でした。



cheese
ヘルマンにいた人たちのバンド、という情報のみだったので曲を聞くのは初めてで、ボーカルの平床さんの背の高さに驚きました。ヘルマンはライブ良いよとすすめられたので2002年のライジングサンにて初体験して、わけのわからない熱気と突き刺さる歌詞とにのめりこんで一度ワンマン行ってみたいなと思うほど気になっていたのですが、あれよあれよという間に状況が変わってしまって結局かなわないままです。一度見たものの演奏されている曲が当然違うわけで、聞いてみると英詞のギターバンドという印象、気分とかみ合わなかったせいかくいっとひっかかるものがなかったのが残念なので、違った状態の時にもう一度聞いてみたいです。


the chef cooks me
お客さんの数が多いものの名前さえあやふやな状態だったので、今日は音楽を受け入れられる体勢ではないかもしれないから大丈夫だろうかと心配になっていたのですが、ベースの音が太い上にメロディーラインも好きなものが多く、打ち込みもあって鍵盤から鳴らされるドラムと実際の楽器のドラムが混ざっていったり、ギターの人が途中鍵盤を弾きにいったりしてステージ上の立ち位置も面白かったです。声も幼さを残したように甘く、曲は思わず身体を揺らしたくなるようなものでした。ノリノリのお客さんもいたのですが、フロア全体がもっと揺れているようなところならばもっと楽しめそうです。


PaperBagLunchbox
困った困った、困ったのでとりあえずばらばらと分けます。


○演奏された曲たち
アコースティックボートの上→スライド→ユートピア→夜明け→水中飛行


○曲それぞれに感じたこと
アコースティックボートの上→曲が始まってしばらくは様々な意味において不安。
スライド→不安はまだ続行中。以前ほど染み込んでこないのは耐性ができてしまったからなのかと再び不安。
ユートピア→見る度に楽しい感情が膨れていく曲、やっと名前が判明。
夜明け→ドラムが好き。ライブで聞くと新鮮。
水中飛行→魚にはなりたくない、その言葉はさりげなくても深い意味があっても力がある。


○以上を踏まえた上でセンチメンタルよりのメモ
倉地さんがノーメガネでそれに反応してしまいつつ、斜めながらお客さん側を時折向いて演奏してくれるので、ここぞとばかりにその指を見つめてしまいました。今回は後ろの方にいたせいか最初のうちは、話している人たちの声が気になってしまったり笑い声に反応してしまったりしたところがあったせいか、どことなくずれているような感覚があって、今日は世界に入れないかもしれない、ことによれば自分から遮断してしまうかもしれないと不安になっていました。「スライド」になってもそれは続いていて、一ヶ月前にはあれだけ過敏になってしまったところでも気持ちがものすごく揺らぐということはなくて、前で聞くと飲み込まれそうになるので適度な距離を保ってしまったのが失敗だったのかな、と自分の心と身体のご機嫌をうかがいながらドラムのアイさんのMCを聞いていました。ユートピア、という単語から続いて流れてきた音は楽しさがうっすらとにじみ出てきて回数を重ねるごとに明るさを増していく曲でした。中野さんが本当に楽しそうに身体を揺らしてステージ上を動き回って、スピーカーの上に乗ってステージの先端に立っていると、四人が四角というか円を作り出しているかのようで哲学的でさえありました。
「夜明け」へと引き継がれ、このあたりからずるずると音にひきずられてしまいました。PBLのライブを見る時にいつも感じていたどきどきのような、安心する居心地の悪さが湧き上がってきて、ベースに加えてドラムのリズム部分が気に入ってあちこち行くスティックをぼんやりと視界におさめ、「水中飛行」においては鍵盤で鳴らされるイントロから何ともいえない感情が吹き込んできて、後ろから聞こえてきた笑い声に現実を思い知らされながらも気持ちを引っ張られ続けていました。歌詞と歌詞の間にささやかれる中野さんの言葉は直接的だったり暗喩的だったりして、にじんでは染み込んできます。
少し見えてしまった部分もあるにはあるのですが、そこに目を向けてしまうと楽しめないしつまらなくなってしまうので、難しいことは考えずに心のあるままに委ねて、今日のライブの曲を振り返ってみたらおもしろいことに気がつきました。曲の一つ一つが章で、それらが繋がれて大きな物語を紡いでいるかのよう。流れがとても綺麗でした。

終わった後、アンケートを取り出して真剣に書いている女の子を見ながら、あんな風になれたらなあと即座に表現する言葉が浮かばない私は白いままの紙を持ち帰ってしまいました。自分の文字で伝えたいことはあるのですが、表面的なものだけ書くことはできなくて、それだけですませたくない気持ちがあるのでまだ一度も書くことができていません。そのため電車と自転車と徒歩でライブを反芻して出てきた言葉をここにメモしているのかもしれません。


APOGEE
ドラムも力強くベースラインもおもしろくサポートが入ってツインキーボードになって音も厚くなって声にも切なさがあって曲自体も叙情的ながらひねくれて歌詞にも遊びがあったりして、確実に好みのものであるはずなのに、むなぐらをつかまれて揺さぶられるような感覚はありませんでした。何故だろう何故だろうと違和感があって、何が足りないのだろうかと考えていたところ、「夜間飛行」で鍵盤が入る数瞬前にぽんと答えが出てしまいました。
きれいすぎる。何かが足りないのではなくて足りすぎていて、あらかじめパッケージ化された商品のよう。自分たちの世界をきちんと持っていて自己演出もできていて、確かに音で満たしてくれてはいるけれど完璧であるとそちらの方に目が行ってしまってたわんでしまうところが出てきてしまう。ひねくれているし好きな系統の音楽ではあるけれど、いびつではあってもそのいびつさが形として完璧であるせいか鷲づかみ、ということはありませんでした。
と言いながら今回はきちんとした状態で聞けていない事情があって、非常に情けないので自戒しておきます。酔ってしまいました。お酒ではなく、曲にでもなく、目の前で大きく揺れていた長髪の女の人の整髪剤か香水のにおいに。彼女がゆらゆらと揺れるたびにその香りがたちのぼってきて、もともと香水が苦手なこともあって途中から音よりもにおいに意識を縛られてしまっていました。
APOGEEアロウズも出るスペシャのイベントに行けたら再度見られるので、その時には美形という噂の大城さんの演奏姿もしっかりと見てくることにします。


それにしても困った、油断するとどんどんあふれてくるものがあって、原因がPBLとAPOGEEなだけに曲を再び聞きながらやりすごすしかありません。