江利子と絶対

江利子と絶対

芝居の方を逃してしまったので今さら小説を手にとって読んでみたら、量としては中篇ぐらいのものでした。「絶対」の意味が無事わかって納得。彼女の描く世界は絶妙な気持ち悪さがありながらぎりぎりのところで許容してしまうところがあって、その線引きがとても上手でのまれてしまいます。罪なのかそれに対するあがないなのか、後ろめたさを感じるところも気持ちを引きずられてしまって、残酷な描写もあるのにしっかりとシーンを焼き付けてしまうのは意外とあっさり書かれていたりするからなのかもしれません。
「超」でも「チョー」でも「ちょう」でもなく「ちょ」と表現するところが、演劇に携わっているからこそ出てくるリアルさなのだなあと脳内で声に変換する時のなめらかさに感心。彼女の芝居によく出演している吉本菜穂子さんをまた見たいです。