『変態村』*2

山手ではなく地下鉄を乗り継いだら銀座線も止まっていたためかぎゅうぎゅう、でも埼京線には及ばなかったので何食わぬ顔をして乗車していました。それからダッシュユーロスペースに先に行ってチケットを買って、チケット屋へ行って前売りを買おうと注文したら「え?」と聞き返されたので二回目は大きな声で「変態村一枚ください」と言っておきました。
はじめてのライズX、もともと飲食店だったところを改装したのか、壁にスクリーンをつけているような感じで、一階よりも二階からの方が見やすそうでした。トイレが会場内、スクリーンの下にあるというのも七不思議。ただ音響設備があまり良くないのか、映画館で見ているという感覚があまりなかったのが残念でした。音も小さめだったのでちょっと気が散ってしまう場面もありました。
作品の方は予告編がとても上手に編集されているのだなあというのがよくわかりました。過剰に期待しすぎていたせいか、さほど残虐なわけでも狂気あふれるわけでもありませんでした。ギャスパー・ノエ監督が引き合いに出されていますが、雪の情景もあって、それよりも随分と乾いた印象。そういえば『カルネ』のあのおじさんも出ていました。あちらは少女が出てきたりするのでとても生々しく感じるのですが、こちらは肉感的な描写があるにはあってもはち切れそうな若さがないためにより鬱屈感は出ていました。
酔うほどに気持ち悪くも無く、カメラワークや真っ赤な色でくらくらする部分もあるにはあったのですが、印象が強かったのは予告編でも使われている村人たちのダンスシーン。ゆらゆらと身体を硬直させたまま揺らせているようで、伴奏のピアノも黒鍵ばかり使っていて不安になるばかり、でも癖になりそう。もっともっと村の描写があって村人と何かあるのかなと思っていたら、実際は主人公の彼と迷い込んだ宿の主人との関係性に重きがおかれていて、確かに深い深い深い愛が存在していたためか行き過ぎた行動が描かれていても気持ちや視線をさえぎりたいとは思いませんでした。この作品も名前で随分と損していそうですが、変態度としては期待しすぎた部分があっても割合きちんとしていました。ラストシーンは少し幻想的でもあって、風景が冷たく、そこだけは酔いそうになりました。