『スクラップ・ヘブン』*7

予告編と最初の方の展開から、『ベルリン、僕らの革命』? なんて思ったりしたのですが、それぞれに違う味が出ていました。


歪んだ景色を歪んで撮って、疾走感あふれる音楽が心地良く、鬱屈した加瀬亮さんの表情がまた魅力的でした。若いけれどがむしゃらだけの若い時期は過ぎてしまって、割り切ってしまうほどあきらめが良いわけではなくて、きっかけを待っているだけ。でもそれが現実となった時、意外と何も出来なかったりして、その表現がとてもリアル。それだけで一つの作品となりそうな部分をきっかけにして、世界のゆがみとは違ったものをひずませていく姿が痛々しい。
私が好きな後味が悪い作品、というくくりにはなるけれど、救いがまったくないわけではなくて、くすりと笑ってしまったり、ラストにひねりがあったりして、なかなかニヤリとしてしまいました。ニヤリとした時に流れてきたのはフジファブリックの「蜃気楼」で、想像していたよりも作品に調和していて良かったです。あの不協和音の居心地の悪さがたまらなくて、帰りに自転車をこぎながら聴いていました。