伏見稲荷大社

whose1005-04-04


六時頃京都駅へ着いて、拝観どころかお店さえもあいていない状況でどうするかと考えた時、既に心の中は決まっていました。コインロッカーに荷物を預け、冷たく寒い風の中、始発のバスでお気に入りの伏見稲荷へ。
来るのは確か四度目。一回目は一人で日暮れ時に、二回目は友達と四人で日暮れ時に、三回目は友達と二人で日没後に。ひっそりとした位置にある上、奥まで行く人があまりいないのでいつでも静かな印象があって、前回夜に友達と行った時は、上から見える京都の景色がとても綺麗でため息をついていました。一人で夜に行く勇気はさすがにありませんが、また夜に見に行ってみたいです。
雨がぱらつく中、早朝の伏見稲荷はやはり人もまばらな状態。奥へ行けば行くほど自然の音が濃くなって、すれ違う人と「おはようございます」と挨拶することで自分が今どこにいるかを再確認していました。切れてきた自分の息と時折聞こえるウグイスの声に安心しながら、ぐるぐると色々なことを考えました。体が温まっても寒さはぬぐえないままに、無心というより修行状態に近く、独り言も多くなっていました。
途中見晴らしのよいところにあるベンチに座り、振ってくる雨に「もうちょっと待ってください」とお願いしながらパンを食べました。絶景なのに寒さのせいで味がほとんど感じられませんでした。無事一の峰までたどりついて、どこにも猫がいないことにさみしい気持ちも抱きながらぐるりと回って本殿まで戻りました。戻り道もこれまた足が悲鳴をあげるぐらいきついもので、弱音を吐く相手もいないので、お稲荷さんに「大変ですよね」と同意を求めたりもしました。
途中迷いながらも人気のあるところまで出て、十時前だしこれからどうしようかと入り口の鳥居をくぐって考えて立ち止まっていると、地元のおじいさんに話し掛けられました。ちょうど4月4日は朝にちょっとした行事が行われるということで、伏見稲荷についての話や京都にまつわることをおじいさんから色々と聞きました。
九時になり、袴姿の人々が本殿へと行列をなして入っていきました。男の人の袴の色は濃くなるほど、位が高いのだそうですが、一番えらい方は白いものを履いていました。中ぐらいの位の方の紫がとても綺麗だった記憶が残っています。
そして詞をあげ、お供え物をした後、巫女さんが三人鈴を持って舞い始めました。歩いている時には鳴らさないのだというおじいさんの言葉通り、彼女たちはしゃらん、という鈴の音を振る時にしか出していませんでした。とても耳に残る音。
寒さで身をよじらせながら見守っていた行事が終わり、伏見庵という何度か行ったことのあるお店へ行ったら開店前だったので、時間をつぶしてからまた向かいました。いつもはとろろそばだったのですが今回は温かいにしんそばを注文。出されたお茶が体中にしみわたりました。