『変身』 (→) 

whose1004-11-20

監督:ワレーリイ・フォーキン
ユーロスペース

多少のネタバレがあるかと思うので、これから見るつもりのある方は見なかったことにするか、見たつもりになって読んでみてください。



虫に関連するものかカフカ本を持っていけば割引されるということで、「変身」を探して持っていきました。この作品を映像化するとしたらどうなるのだろう、と考えてみて、実際に映像化されたものを見て納得、うまいこと行間を読んだ形となっていました。想像の範囲内ではありましたが、俳優さんの演技がすごくて、特に手の動きが人ではないようなものになっていて、CGではない生の力が出ていたように思います。最初は夢の内容が含まれるため幻想的で退屈になりそうでしたが、彼の身体に変化があらわれてからはぐぐっと作品の世界に引き込まれてしまいました。人が虫に変わり、その姿が誰にでも認知されるものならば感情も別になっていたかもしれませんが、ここでは人なのに人ではない、でも彼は人であるということが映されていたためにその物悲しい様子がにじみ出ていて、小説に添った形ではあるものの、もう一つの世界をうまく構築していたように思います。彼は本当に虫になってしまったのか、それとも彼のみが虫になったと思い込んでいるのか……考えながらまた原作に目を落としたくなる作品でした。