MOLE IN A HOLE presents THE MOON PULLS ON THE TIDE vol.2

行こうか迷っていたイベントで、無料招待を募集していることを知って申し込み、当日の朝になっても連絡がないので駄目だったのかなと思っていたら昼ごろに通知が来ました。当日券も悩んでいたところだったので喜び勇んで渋谷へとおもむき、受付をすると募集人数より多くの名前があって、もしかするとあまりチケットがはけていなかったのかもしれません。


上ではフラカンのイベントにスピッツも来ていてうらやましいなあ、と思いつつ会場へ入ると椅子が並べられていたので、それほど若くない私はありがたく座ることにしました。いつもは後ろ側で見るのに今回はステージから結構近いところで、それで何もさえぎられないものだから、じっくりとライブを味わうことができました。

Simone White
ギター一本弾き語りの彼女の声はけだるさも帯びつつ透き通るようで、そのまま伸びあがってつま先立ちになって空を見上げたくなりました。手帳に書かれた日本語を読んで曲紹介をして、なごやかな空気が会場には漂っていたのですが、日本語を含む曲もあって、それがやきいも屋さんを題材にしたもので、こんなにも哀愁のただようやきいも屋さんのかけ声は初めて……でもよく考えるとおじさんのあの声も憂いを帯びているかもしれない……でもそれとは少し種類が違う哀愁で、女の人の、日本語を母国語としない発音だから余計異国さが際立って響いてくるのかもしれない、と後を引くほど。家に帰ってもう一度聞きたくなって、思わず動画を探してしまいました。興味のある方はどうぞ*1、クセになります。


高野寛
詳しい編成を知らなかったので、パーカッションのPすけさんはわかったのですが、ギターがグレーの細みのスーツで白いスニーカーを履いて座りながら演奏する方で、氷川さんを彷彿とさせるのに声はあまめ。誰だ、あの人は誰なんだと高野さんを見つつそちらに意識がつい向いてしまったのですが、メンバー紹介でMAMALAID RAGの田中さんだとわかりました。
三人のバランスはとても良くて、高野さんの声もさわやかに響いて、気持ちよさそうに歌い上げる姿を見ていると、こちらまで心地よくなりました。ゆるいMCも交えつつ、ポップな曲を次々と。


Thao with the Get Down Stay Down
こちらはうってかわって激しめ、独特なギターのフレーズをかき鳴らしながら身体を大きく揺り動かして歌い、曲が切り替わる度に強く引き込まれてしまいました。結構クセは強めなのかもしれませんが、声が全然ぶれないのでぐいっと引き込まれてしまったら最後、この魅力は一体何だろうと首を傾げる間もありませんでした。途中、バンド編成のトクマルシューゴさんを含めてやる曲があって違うテイストが混ざったことでおもしろい感じにもなっていて、最初気になったのはトリのトクマルシューゴさんでしたが、三組だけでも非常に良いステージを見せてくれました。


トクマルシューゴ
ライブで見たかったので念願の。音源ばかり聞いていたので最初はちょっと違和感があり、声が色っぽく聞こえたのが意外でしたが、ステージ上はそれぞれが自分のスペースを持って様々な楽器を演奏していくので、見ているだけでも楽しかったです。きっちりとした世界観が作り上げられていて、ストーリーが展開されていくのを頭の中で追っていました。浮かんだ単語はファンタジーよりもメルヘン。
自分の中の好みに改めて気づいたのは、ピアニカはうすうすわかっていましたが、アコーディオンの哀愁のある音にひかれてしまうようです。それだけではなく鉄琴や鈴の音もたくさんまぶされていて、キラキラと音で光るステージがまぶしかったです。
アンコールは出演者全員で「ラジオスターの悲劇」。これも様々な色が混ざりあっているのに、曲の強さによって上手くブレンドされていて、サビのところはキュートな部分が良く出ていました。ただ、個人的に気になったのは、出演者全員かと思いきや、一人だけステージにいない田中さんのことでした。

四組とも違った楽しみができて、どれもこれもまたライブで見てみたいと思える人たちだったので、招待していただいてありがとうございます、と感謝の気持ちでいっぱいです。