DRIVE TO 2010「勝井祐二プロデュース・ナイト」

しわよせのしわよせにより、遅れるどころかもう終電コースなので諦めるしかないのか……と肩を落としていたらさらなるしわよせが発生して、開演前に到着することができました。ただ新たなしわよせによって日曜がつぶれることになり、ネストフェスには行けないことに。しわよせとしあわせは似ていますが、そこに感じられるものは全然違います。

バーステージにおいてもライブが展開されていて、それがメインステージの方でも見られるようになっていたので、座りながら心地よい音に気持ちを落ち着けていました。何せ久しぶりのsgt.、初めての旅人さん、やっとちゃんと聞けるNATSUMENという夢のような組み合わせ。即完売かと思っていたら意外と重なる層がなかったようで、フロアの入りもちょうど良い具合でした。

七尾旅人
今まできっちり聞いたことがなかったので、ここまでメッセージ性の持つ物語を展開していく人だとは思ってもみませんでした。ライブというよりステージという印象でぐっと引き込む力がある上、声がずるい! あの声でささやかれたら何も言えなくなりそうです。さらに声は機械的に人工的に加工されて違う色を見せ始め、強い主張をしたり多くの含みを持ったりしているのに押しつけがましくないのがまた魅力的でした。勝井さんと一緒にやる曲もあり、バイオリンの音が入って優雅さと不穏さのアンバランスが積み重なって、最後の方はわけがわからなくなっていましたがまた見たい、今度は座ってじっくりと見たいと思わせてくれるステージでした。


sgt.with 勝井祐二
新しいアルバムの曲ばかりだったらどうしよう、でも初めてだと新鮮な気持ちで翻弄されるかもしれないな、と期待と不安を抱きつつスクリーンが上げられると、中央には姫である成井さんがちゃんとした衣装を着て立っていて、勝井さんは左側にそっと立っていました。
演奏された曲は新旧半々といった次第で、成井さんと勝井さんの二つの音が違う風に展開していくのを見るのが面白かったです。似たように思えても質感が違っていて、サポートに徹しながらもしっかりと存在感を示す勝井さんにちょこちょこ意識を持っていかれました。
勝井さんが気になっていたからなのか似たような展開のものが多かったからなのか聞きたかった「銀河の車窓から」がなかったからなのか、翻弄される、蹂躙される、という、いつものようなくるっていく感覚を抱くことはなく、新譜は小説付きだと言っていたからどんな感じに仕上がっているのだろうと別のことを考えてしまいました。
初めて見て衝撃を受けたERAにて完全なワンマンが11/25に開催されるということで、待ち遠しくてなりません。昨年末のSUPER DELUXEでのライブが素晴らしかったので、今回も映像含め成井さんの衣装含め楽しみです。


NATSUMEN
油断していました。音源は聞いたことがあってもライブは以前ちらっと見られた程度で、どんな感じの音楽だったのかほとんど忘れていたのですが、それぞれが割と自由に演奏していってぐちゃぐちゃになるのかなという感じでは全然なく、実際に見た彼らはとてもポップでキャッチーで、とっつきやすいものでした。
名前とは裏腹に私が感じてしまったのは、冬の昼の晴れ間のイメージで、刹那的な明るさでした。サックスとトランペットの音が左右から聞こえてきて、こんなにも前向きなのかと思えるぐらい光を感じさせてくれるのですが、それと同時に切なさもあって、重ねられるギターがどれだけ激しくてどれだけベースがうねっても根幹にあるものは揺るぎなく、泣き笑いをしている時のように相反する感情がそこにはありました。厚く熱く太い音にお手上げだ、と感じてしまったので素直に身を委ねることにして、温度の上がっていくフロアで揺れていました。是非ともライブでまた見たいです。

お客さんは男の人が多い印象で、段の上にいても背の高さが同じ、という現象が起きていました。バーステージの方はスクリーンで映されるのをチラッと見る程度だったのですが、メインが転換中でも楽しめるような構成になっていたのはありがたかったです。ただ時間がかぶっていたので両方好きだった人にはつらい選択だったかもしれません。メインである三組はどれも圧倒的なステージで、それぞれ勝井さんを入れて曲をやっていて、終わったのが十一時近く。おかげさまで贅沢な時間を過ごせました。