「こどものころにみた夢」

こどものころにみた夢
夢の絵本、ということでそれぞれのストーリーに絵があって、西加奈子さんだけは絵も文も担当していました。装丁も凝っているのですがお値段もそれなりにするので所有欲は抑えなければなりません。夢の中の物語は理不尽だったり思わぬところにつながりがあったりしてなかなか面白いのですが、中でも辻村深月さんの作品は印象的でした。骨組だけ見るとバトルロワイアルリアル鬼ごっこのようなものですが、そのドラマを具体的に描いてしまうとエンターテイメント性が出るものの濃さがうすまってしまうので、始まりまでを描いているところに程よい息苦しさがありました。自分の中で見る夢も何かが始まるというか終わってしまう寸前に目が覚めてしまったりするので、明確な終わりを提示しないところも昔の夢を思い出しました。