エイミー・ベンダー「わがままなやつら」

わがままなやつら
ひさしぶりに手元に置いておきたくなる作品に出会えました。不思議ちゃんを気取った女の子が書くような物語という見方をされてしまう面があるかもしれませんが、描く側にしっかりとした芯があって隠されたテーマがあって展開されていくので、さらさらとストーリーが流れ落ちていくことはなく、ちくりと刺さる棘も確かに存在していました。美しさも汚らしさも繊細さも大胆さもあって、メルヘンゆえに残酷、哲学的な部分もありながらイメージもしやすく、苦手としている翻訳文体さえも味方につけているようでした。ぐいぐいとひきこまれてしまって、「飢饉」などはシュヴァンクマイエルの世界にぴったりで、是非ともあの気持ち悪い映像で見てみたくなりました。
その時のテンションによって受ける印象も結構変わってきそうな物語が多かったので、時間をおいてまた読み返したいです。