中島京子「FUTON」

FUTON
この密度の濃さ! と静かに興奮してしまいました。これが初作品と知って驚くほどにきっちりとしていて、花袋ちゃんの「蒲団」と実際のストーリーとが絡み合っていくさまは読んでいてドキドキしました。滑稽な可笑しみもそこからにじみでる皮肉さやせつなさもちょうど良い加減で、くううくううと声に出してしまいたくなるほど唸りそうでした。少し苦みがあるところが良いです。