ザンジバルナイト in 野音

理想の過ごし方としては、リハの音を聞きながら日比谷の図書館で作業かノルマが終わっていればペーパーショウ、イベント後はレイトショーという流れだったのですが、まったくもって終わる気配がなかったため野音へ行って帰っただけになってしまいました。けれどたくさんパトカーが停まったりしている中、ビルとビルの間に据えられた横断歩道の真ん中で思わず立ち止まってしまうほどの満月を見ることができたので音と共に気持ちもうまいこと満たされました。
そのうち公式サイトにレポートが掲載されると思うので、順番がバラバラかもしれませんが少しだけ印象をメモしておきます。そうそう、カメラが入っていたためメディア化されるかもしれません。楽しみをとっておきたい人はそのままにしておいてください。



9miles
オンタイムでのスタート、最初は曇天だったのでせっかく野外が似合う音なのにもったいない気分になってしまいました。砂浜など、海の近いところで聞いたらもっと心地良さそうです。

ウクレレえいじ
つなぎとして転換中に出てきたのですが、細かすぎて伝わらない物真似シリーズをいくつかやってくれて、志村喬押しにはやられてしまいました。

ままどおるず(箭内道彦 with 山口隆
ふるさとを思って帰りたいのに帰れない、情けない男の人の歌。ちなみに福島みやげのままどおるは昨年のアラバキの帰りに仙台駅にて購入しました。

浜野謙太(押しがたり)
つなぎで登場、先日の大先輩ライブとほとんど同じ構成でした。「最北端」がもう一度聞けたので満足しています。

星野源
弾き語りのはずが、ハマケンをステージの端に残らせて静かな曲に合わせて踊ってもらうということをしていました。一曲削ってなのか、二人で「信長」。一人で緊張していたためいてもらったのかな、ともちつもたれつの関係性が垣間見えました。途中、中納さんを呼び込んで「スーダラ節」をデュエット。この頃には晴れていました。

中納良恵
格好良くてしびれてしまったのが、サンプラーを使って自分の歌をその場で重ねていった一曲目でした。凛とした女の人の芯の強さがわかる、祈りをこめたような歌声にびりびり。それからは鍵盤で弾き語りでした。

ハナレグミ
色々演奏する曽我さんとタップダンサーの熊谷さんという、珍しい編成だったのですが、タップがまた格好良い! ドラムやパーカッションが手で叩きつけるものに対してタップは自分の体重を打ち付けるものなので、踏みしめる分重みが違うように感じました。聞くだけではなく見るのも楽しくて、ゆるやかに音が流れていきました。そしてスライマングースを従えて「ハンキーパンキー」!

SLY MONGOOSE
新曲! リズム感がないので拍が取りにくい曲であっても新曲! 続けざまにたぶん二曲! と大興奮。ここしばらくハロワとしての演奏しか見ていなかったので、インストだけの「Snakes & Ladder」を聞くことができて笑みが止まりませんでした。いてもたってもいられなくてBOSEがステージに出てきましたが、笹沼さんに釘付けだった私としては「歌ってくれるな歌ってくれるな」と今回ばかりは願ってしまいました。ハロワとしての活動はもちろん楽しみですが、やはり彼ら単品だけのライブをじっくりと味わいたいです。

TOKYO MOOD PUNKS
やっぱり渋みのある大人の曲たちでした。世界をわかるためにはもっと人生経験が必要なようです。ともあれ、終始笹沼さんに釘付け。なんたって細身のジャケット!

みうらじゅんZ
こちらも情けない男の人の世界の歌。時にかすれるみうらさんの歌声には哀愁があって、年を重ねるごとに頷けることが多くなるのでしょう。

TOKYO No.1 SOUL SET
見る度にビッケが細くなっていきます。新しいアルバムの宣伝もしつつ久しぶりにぐだぐだのMCもありつつ、大人の事情をちらつかせながら昔の曲は「隠せない明日を連れて」のみだったような気がします。この頃にはすっかり暗くなって照明が映えるようになって、ビッケもお客さんを大いに乗せていました。ただ個人的にご立腹、たいへんごりっぷくだったのは、最後が「Just another day」だったので笹沼さん抜きだったことです! 

峯田和伸
この人の持つカリスマ性って何なのだろうかと感じずにはいられない、吸引力とでも言うのでしょうか。飛び交う声に切実さが混じってもいて、別なことまで考え始めてしまいました。カバーもやりつつ最後は山口さんとみうらさんを読んで、三人でやったのですが、肝心な曲名は忘れてしまいました。

スチャダラパー
さすがリリーさん、と思ったのは、スチャダラをトリに持ってきたからでした。盛り上げ上手でお客さんもノリノリ、四人でさらっと温度をあげてくれました。スチャダラという名のハロワなのかなと思っていたら、先日の大先輩の時と同じような構成になっていて、ただ暗すぎたため「BD発言」のスケッチブックの文字がよく見えませんでした。アレンジもほぼ同じながらもやっぱり格好良くてMCも抜群で、最後にふさわしかったです。


明らかにスライマングースのバンドセットが組んであるのに使わなかったので、きっとハロワのあの曲やったりあの曲やったりするのだろうな、と期待しながらのアンコール。驚くことにみんなハロワの衣装を着ての登場でした。日曜で、明日から一週間が始まるから「EVERY SINGLE DAY」で元気を与えてくれるのだろうと思っていたら一曲だけ、そのイントロはアルバムにも収録されている、あの曲でした。
永積さんもワークシャツを着て登場、もしかしたら小沢さんより歌っている回数が多くなっているかも、なんてことを思いながらアルバムそのままのアレンジのブギーバック、聞きすぎて見すぎて食傷気味だという贅沢な悩みを抱えていたわけなのですが、今回はあまりそんなことを感じずにすみました。たぶん、誰と一緒に聞いたのかということが大きいのでしょう。リアルタイムで聞いていてあの頃のことを思い出せる、共有できる記憶がある人たちが野音には集まっているかのようで、各々浮かべる当時の景色がありながら今は別のものを共有している、そしてそこに流れる曲は同じで、同じであるはずなのに確実に違うというところも一因だったのかもしれません。こんなにもたくさん揺れる手、聞こえる歌声、ここでしか見れない景色ってこういうことなのかもしれないな、と視点をいくつかずらしてしまいました。

締めは主催のリリーさんということになったのですが、今回の出演者が強制的にやらされていたゲッツのネタをやっているダンディーさんをずっと思い出せなかったということで、ソウルセットの俊美さんが一本締めゲッツの音頭をとることに。昨年の流れから、今さらなネタを本気でやるとおもしろい、ということで続いていたものなのかもしれませんが、そんなゆるゆるな空気も楽しさの一部となっていました。再入場可なのでそれぞれお酒買いに行ったりとゆるゆるなのになかなか濃密なイベントで、是非また開催してもらいたいです。何せステージに一番長くいるのが笹沼さんというイベントなんてそうそうありませんもの!