アナログフィッシュ「アナログフィッシュ」

アナログフィッシュ
初めて彼のドラムが好きだ、と認識したのはAXで「バタフライ」を聞きながら壁にうつる影を見た時でした。激しくても決してぶれず、ぴんとのばした背筋は見ていて気持ちが良くて、どんな時でも笑顔で楽しそうに叩いていました。マイクが拾うのはハーモニーだけではなく掛け声もあって、眼鏡がズレて飛んで、それでも手はあるべき動きを保っていて、動いていることで安心できる人でした。だから今日聞く音楽は「バタフライ」からスタートさせて、彼が叩いた音を耳の中に入れてその姿までも反芻させて、三人のアナログフィッシュを焼きつけました。
そこに嘘はないし裏もないし私が知ることができるのは音だけなので、新たな音を受け入れるしかないのかもしれません。何がなんだかまだわからなくても、異なる二つの世界を束ねていた斉藤さんのドラムが好きだったことだけは真実です。