オニが来た

オニが来た

「オニ」
動物ではないですが、一応生き物ということで。タイトルとは裏腹に、とてもゆるやかな世界でした。時間の流れが穏やかで、そこで生活している人たちの様子が思い浮かぶ、微笑ましいものばかり。夫がいないのに彼の実家で過ごす、というと嫌味を言われたりだとか習慣が合わなかったりだとかちぐはぐなことばかり起こるのかなと思うものの、最初はお客さん扱いだったのが段々と馴染んでいく姿が文章から伝わってきて、何気ないことを大切にする様子もわかりました。出てくる人たちのキャラが立っているのに対して主人公の奥さんそのものをなかなかつかめなかったのが少しだけ残念です。お年寄りの愛嬌がたっぷり、チャーミングという言葉がぴったりの物語でした。