お姫様扱いだった彼女はなつかない、愛嬌がない、足が短い、芸もない。もともといた二匹の方に愛情が向けられるのは当然だった。膝の上にも載らないし無理矢理載せようとすると引っかく、珍しく大人しくしていると思ったら逃げるタイミングをうかがっているだけ。お姫様になったいきさつは父親が隣家のもらい猫と差別化するためだったけれど、その甘やかしで後々痛いしっぺ返しを食らうことになる。とにかく彼女はわがまま三昧でぶくぶくと膨れていった。短足がよりいっそう強調されて、もう一匹のスレンダーな彼女の隣に行くと笑ってしまうほど滑稽だった。