フジファブリック「サーファーキドリツアー」

もしかしたら遅刻、それどころかまるまる見られなくなるかもしれないとひやひやしていたのですが、上手いこと凝縮してくれたので頭は疲れながらも楽しみな気持ちを携えてお台場へと向かいました。一日で良いかな、と思っていたのですが行ったら行ったでやはり良かったなあ、と思ってしまうのがライブの魔力です。
明日もあるので少しだけ閉じます。

開演間近に到着したら後方はつぶしたスペースもあるのに割とゆるゆるで、おかげでステージ全体を思う存分味わうことができました。今回も照明が印象的で、ステージ上に設置された六つの真っ直ぐなものと斜めに射す五つぐらいのライトが大活躍していました。音だけではなく歌詞に寄り添った色の切り替えもあって、「桜の季節」ではタイトル通り桜色のもので統一するかと思いきや歌に合わせて散った後を思わせる新緑の色を持ってきたり、「茜色の夕日」では群青でステージを染めてから徐々に朱を入れてきたり、見ているだけでも楽しかったです。
音源化されていない新曲は二つあって、二つ目の方が少し古さを感じさせながらも気持ち悪さもある、鍵盤のメロディが頭に残るものでこれ好きだなあと星のように散りばめられたたくさんの照明を見ていたのですが、歌詞をよくよく聞いてみたら変態爆発で、「含み笑いが素敵だね」というフレーズを聞き取ったらにやにやが止まらなくなってしまいました。
ツアータイトルとなっている「Surfer King」では金澤さんがトランペットを吹いていて、下手さ加減が味となって垢抜け切れていない良さが引き立って、音源だとスカパラが演奏して洗練されすぎている印象を受けたので、滑稽さが同居した方が似合っているなあ、とこれまたにやにやしながら見てしまいました。トランペットと山内さんのギターの先から緑色のレーザービームが出てくる演出も良かったです。
気持ち悪い「蒼い鳥」だけではなく四季盤を全部聞けたことも満足していて、特に「赤黄色の金木犀」は前回野音で聞いた時にドラムの違和感がどうしても拭えなかったのですが、それが自分が慣れたのか演奏が馴染んだのか、ロック色の強くなった別アレンジのものとして素直に受け入れられました。今回は城戸さんがよく見えたので遊びを交えて叩いている姿もじっくりと味わえました。
盛り上がるところ、聞かせるところ、気味悪がらせるところ、味わわせるところ、というようにいくつかの曲がブロックとしてまとめられているような構成でした。盛り上がるところは前方にたくさんの手がかざされていて、その光景は見ていて爽快感さえ味わえるほど気持ちよかったです。
アンコールのラストに演奏された「ダンス2000」ではまさかのショルダーキーボードで、それって大ちゃんの専売特許なのでは、と思ったら金澤さんも一応ダイちゃんだったので笑ってしまって、ステージ上を生き生きと動き回ってギターのように激しく弾きまくる金澤さんを見ながらもう一人の大ちゃんこと浅倉さん、そしてその先生である小室さんのことまで思い出してしまいました。

エンターテイメントにも富んだライブで、お台場は遠い上に電車賃もかかるのでZEPPはあまり好きではなかったのですが、照明も良くてステージもよく見えてフロアもゆるゆるだったので、やはり行って良かった、という結論に至りました。よほどの事情がなければ明日も行く予定で、気持ち悪い新曲と今日聞けなかった曲を楽しみにすることにします。